102号 2007年2月16日発行





7面
和工杯剣道大会15回の節目
中学生も参加し、熱戦展開
8-9面
和歌山市中学校バスケットボール選手権
男子・河北、県覇者の貴志をスピードで制す!
明和女子、伏虎にリベンジV
10面
男子決勝 向陽、王者・開智に一歩及ばず
第1セット、得点先行で消極的に

11面
信愛、下馬評ひっくり返し2年連続の全国
フルセットの激戦、熊野を「気持ち」で下す



12面
信愛、全国高校バレー選抜優勝大会出場
「春高へ行くために

        信愛に来た」
1年生宮崎、未完の大砲が炸裂!
軟打、強打の試合巧者

 「春高へ行くために信愛に来たんです」。試合前、こう話していた信愛のポイントゲッター、1年生の宮崎雅美が未完の大砲ぶりを発揮し、「熊野有利」の下馬評をひっくり返す原動力となって目標の春舞台のキップをつかんだ。
 左足首のケガで万全でないエース永井恵梨香に不安がある分、チームの期待と負担が増した宮崎だが「緊張はなかった。ミスしてもいいから思い切ってやろう」と決勝戦へ臨んだ。「全て任していた」と田村学監督から采配を委ねられた主将のセッター高田真帆からのトスは宮崎に集中。序盤こそ熊野のブロックに手こずった宮崎だが、「よくバレーを分かっている」と田村監督も感心するよう、強打が通用しないとなると軟打を多用。「冷静に見れた」という熊野コートの空きスペースに落とし込む1年生とは思えない大胆不敵な巧者ぶりで得点。「1年やけど決めてほしい時に決めてくれる」と高田の信頼をより厚くした。
 1年生の活躍に2年生も発奮。永井が力強いスパイクでエースの意地をみせると、丸山郁子は速攻で、石井麻子はライトから応戦。「1年生に負けられない」(高田)という“宮崎効果”で、接戦の末落とした第3セットの嫌なムードを第4セットで断ち切った。
 15点マッチのファイナルは宮崎の独壇場。「永井さんやみんながいるから思いきりいけた」とここまで決定力を欠いたスパイクで勝負。2枚ブロックの隙間をぬって変則モーションでセンターからたたき込む強気なプレーで熊野の追随を許さなかった。目標だった春舞台に宮崎は「行く限りは良い成績を」と話し、「全国で通用する」アタッカーになるための経験を積んで帰ってくることを誓った。





信愛、下馬評ひっくり返し2年連続の全国
フルセットの激戦、熊野を「気持ち」で下す

セッター高田、存在感示す絶妙のツーアタック


 第38回全国高校バレーボール選抜優勝大会県予選は10日、県立体育館で男女の決勝戦が行われ、信愛付和歌山がフルセットの末、熊野を破って2年連続の全国出場を決めた。男子は向陽が12連覇中の王者・開智を相手に健闘したものの一歩及ばなかった。

1年・宮崎の活躍に永井、石井の2年コンビが奮起

 ◇女子決勝
信 愛
3
19-25
25-15
23-25
25-20
15-6
2
熊 野

 大激戦に会場が興奮のるつぼと化した女子決勝。一進一退の攻防を展開した信愛、熊野の両雄の明暗を分けたわずかな差は「目標の違い」と信愛主将の高田はきっぱり。「きょうの決勝を勝つことが目標の熊野と、全国を勝ち抜くために練習してきた私たちとの差」と胸を張った。
 昨秋の新人戦では1-2で熊野に敗れている信愛。田村監督も「力は7対3か、8対2で熊野」と認めざるを得ない歴然たる実力差があった。その差を埋める「粘りのバレー」を築く土台は「強い気持ち」だが、それさえも田村監督には半信半疑。しかし、「この大会を通じて崩れるところを見ていない。プレッシャーを感じるような娘らでもないし、もしかしたら」という期待は現実のものとなった。
 ともに1セットずつを奪い合い、交互に1点ずつを積み重ねるシーソーゲームとなった第3セットを落としてあとがなくなった信愛は第4セットにエースが奮起。
 セッター高田は序盤、決勝直前まで左足首の故障で練習にも参加できていなかったエース永井を「様子見」で多用していなかったが「ハートの弱い永井にここという時に打たすことで強い気持ちを持ってほしかった」と勝負所でトスを上げた。これに永井も「試合に集中して痛さを感じなかった」と力強いスパイクで応えた。エースの復調に雰囲気も盛り上がり、序盤決定力を欠いた石井も「練習してきた成果を出したかった。春高だけは絶対に譲れない」とこん身のスパイクを決めセットポイント。最後は永井が「ケガで迷惑かけた分、絶対に決めるんや」との思いを込めたアタックでイーブンに戻した。
 勢いは最終セットも持続。永井の連続ポイントで先行した信愛は、ここまで不調だった永井に代わって得点源となってきた1年生の宮崎が「緊張なく相手コートを冷静に見られた」とフェイントを交ぜた頭脳的なプレーで得点を重ねた。
 粘る熊野もエース前地沙耶奈や渡瀬沙紀子ら県ナンバー1の攻撃力で応戦。ファイナル15点マッチの中盤7点をめぐる攻防は長いラリーとなったが、決めたのは高田。「苦しい時にここ一番攻めることが私の課題だった」と、拾ったレシーブをそのまま“ツーアタック”でスペースに落とし込む冷静で強気なプレーで存在感を見せつけた。コートチェンジ後は宮崎がセンターからの強烈なスパイクで連続ポイント。後輩の活躍に刺激され、最後は石井が「これで絶対に決めてやる」と意地のスパイクをたたき込んで2年連続の全国出場を決めた。
 田村監督は「奇跡の勝利。最後まで集中力切らさず気持ちで戦えたのは高田のおかげ」とチームを支えた功労者をねぎらった。高田は「ケガや精神面に弱さのある選手もいるけど、最後はみんなを信じた。全国でもみんなを信じて上を目指します」と2年連続の夢舞台に思いを馳せた。


向陽、王者・開智に一歩及ばず
第1セット、得点先行で消極的に

 ◇男子決勝
開 智
3
25-23
25-22
25-11
0
向 陽

県ナンバー1エース前田、痛恨のサーブミス

 結果は0-3のストレート負けながら県ナンバー1エース前田朋哉を軸に第1、2セットは王者・開智に大接戦を演じた向陽男子。「久々に開智と良い試合ができた」と土井康司監督の表情もどこか晴れやかだった。
 第1セット、硬さの見える開智に対し、向陽は「調子良く打てた」という裏エース森本晟也の1年生らしい思い切ったスパイクで流れをつかむと、「緊張していた」というセッター藤田昌仁にも余裕が生まれ東方昌太への速攻を織り交ぜながら堂々とした指揮官ぶりを披露。頼れる主将・前田もここ一番でバックアタックを決めるなど4点差をつけて20点に先着した。
 しかし、このリードで「ミスを期待するような受け身の姿勢になってしまった」と前田が振り返るよう、これまでの攻撃的なプレーが一転。開智・石田康祐に連続のサービスエースを奪われるなど劣勢ムードになると、「肝心な時に求められていることができなかった」と藤田のトスも微妙に狂いだし、高さのある開智のブロックに好調の森本も阻まれるなど一気に逆転を許し、第1セットを落とした。
 前田の連続得点で先行した第2セットも開智のブロックに森本、東方が苦しみ瞬く間に逆転、7-15と8点差をつけられた。それでも東方がサーブで崩して流れを引き戻すと、森本にも好打が戻って2点差まで追い詰め、勢いづくかと思われた矢先に前田に痛恨のサーブミス。
 「もうちょっと決まってくれたら森本が良かった分、貯金できたんだが」と土井監督もいうよう、スパイクとともに武器の前田のサーブが今試合決まらず。第1セットでネットをかすめた悪い印象を引きずっていた前田は「焦ってしまった。一呼吸おけば楽に打てたのに」という手痛いミスで勢いづけないままこのセットも接戦で落とすと、第3セットは一方的な展開となってしまった。
 前田は「攻める気持ちばかり先走りサーブも、みんながつないでくれたトスを決めきれなかった」と悔やみきれない様子。森本も「一番好きなサーブで攻めきれなかった」と肩を落とした。2年生にとっては春高最後の挑戦だったが、東方は「1年がここまで連れてきてくれたと思うし、めっちゃ感謝している」とし、「今度は高校総体でリベンジします」と再起を誓った。



【信愛】
◇監督▽田村学
◇コーチ▽郭一彦
◇選手〈2〉高田真帆(主将)
〈1〉石井麻子〈3〉丸山郁子
〈4〉永井恵梨香〈5〉湯川真由
〈6〉山高安也香〈7〉前原恵〈8〉東優佳里
〈9〉前田絢葉〈10〉原麻衣子
〈11〉向野千明〈12〉宮崎雅美
【開智】
◇監督▽福井將人
◇コーチ▽中川英
◇マネジャー▽山尾絢甫
◇選手〈1〉佐藤伸洋(主将)
〈2〉上迫満〈3〉佐川翔〈4〉森田有智夢
〈5〉石田康祐〈6〉青木新吾〈7〉本多駿
〈8〉甲佐拓也〈9〉東孝俊〈10〉渡辺英明
〈11〉原田大輔〈12〉池添泰臣〈13〉松尾武蔵
〈14〉喜多将大〈15〉浜田祥宏〈16〉森村一喜
〈17〉小川秀磨





和歌山市中学校バスケットボール選手権男子決勝
河北、県覇者の貴志をスピードで制す!

 第31回和歌山市中学校バスケットボール選手権大会は11日、市立河西中体育館で男女の決勝戦が行われ、男子は河北、女子は明和がそれぞれ昨秋の市新人大会覇者を下して優勝した。

和田、藤井の韋駄天コンビが縦横無尽
新人大会のおごり捨て勝利に邁進
「次は県優勝、近畿での勝利」


 ◇男子決勝
河 北
73
12-16
19-11
23-17
19-25
69
貴 志

 今大会準決勝まで残った昨秋の市新人大会4強は貴志だけという実力伯仲の市男子バスケ界を象徴するよう、決勝は市、県両大会2冠の貴志を部員10人の河北が制した。
 主将の和田、藤井、羽柴の3人が状況に応じて指揮官役を務める3ガードの幅広い攻撃スタイルをもつ河北だが、その持ち味はなんと言ってもスピード。県選抜メンバーの長身・湯川擁する高さの貴志を自慢の足で翻弄。その基軸は湊ミニバス時代からともプレーしてきた県選抜メンバーの和田、藤井の名コンビ。
 「みんなに不安を与えたくなくて」と2週間前に痛めた右足のケガをおしてのスタメン出場となった和田だが、それを感じさせない動きを披露。序盤こそ硬さが見られたものの第2クオーターからは、絶妙なパスと優れた個人技で会場の視線を釘付け。3Pを含む5ゴールの活躍で4点のビハインドをひっくり返し逆転に成功すると、焦った相手のファールを誘って貴志の足を止めた。
 後半は、右足の負担もあってベンチに下がった和田に代わる主役がコートを縦横無尽にかけた。「良いペースで前半を終わったし、5番がいれば大丈夫と信じていた」と和田も全幅の信頼を置く藤井がゲームメーク。
 「優勝候補と言われて浮かれていた」という新人大会では準々決勝で明和に敗れた苦い経験が頭に残る。「もうあんな思いはしたくない。負けたくない」と過信を捨て今大会に臨んできた藤井は「自分らはチャレンジャー」と積極果敢な攻撃型の指揮官ぶりで第3クオーターも流れを継続。3ファールでベンチに下がっていた貴志エース村山の復帰で縮まる得点差も自らのドライブと3Pで引き離した。
 第4クオーター、県覇者チームのエースの意地で村山が怒濤のゴールラッシュ。中野、内野も要所で得点を挙げて踏ん張るが4点差まで縮められたところで和田が再登場。「この足じゃ中で勝負できない」と判断し連続の3Pでとどめを打った。「藤井は本当に頼りになる」と自身が万全な体調で臨めなかった分、相棒に感謝する和田は「次は県で優勝して近畿で勝つこと」と新たな目標に自慢の足を向けた。

貴志エース村山、「このまま済まされない」

 「ミスが多く、シュートも外すなど攻めきれなかった」と貴志のガード廣瀬は悔やむ。河北の速攻に焦りファールを重ねたことも響いたが、その結果「マークマンの切り替えがうまくいかなかった」ことも敗因だと自身も序盤で3ファールを取られた主将の楠見も反省する。後半怒濤のゴールラッシュで勝利への執念をみせたエースの村山も無念さをにじます。選抜メンバーから外れ傷つけられたプライドを「練習でもっとレベルを上げて」見返そうと誰よりも努力してきただけに、和田、藤井の選抜メンバー擁する河北に敗れた悔しさは相当。「このままでは済まされやん」とさらなる成長とリベンジを誓った。


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和歌山市中学校バスケットボール選手権
明和女子、伏虎にリベンジV

 
 ◇女子決勝
明 和
68
14-12
16-10
17-8
21-9
39
伏 虎

県大会の敗戦バネに1年生が成長
入口、チーム最多得点の活躍で流れつくる

 新人大会決勝と同カードとなった女子決勝だったが、勝敗は入れ替わって明和が伏虎にリベンジ。県大会決勝で上富田に敗れた悔しさをバネに1年生中心の若き明和ファイブがまたひとつ強くなった。
 正確で鋭いパスとどこからでも打てる精度の高いシュート力で「市ナンバー1エース」の呼び声高い主将の津多の活躍が目立つ明和だが、入口、猪瀬、塩崎、安部の1年生4人も2年生選手を相手に体力、体格のハンディを感じさせない好プレーを随所で披露。「エンジンがかかるのが遅い」と自身も認めるセンター塩崎が“アイドリング”している間、序盤の流れをつかむ得点源となったのは入口。決勝のチーム初得点を奪って気をよくした後は「気持ちで(得点を)取りに行った」と積極的にパスを受けてドライブシュート。第2クオーター終盤には3連続ゴールを決めるなど流れをつくった。
 後半に入っても入口が要所でゴールを決め、チーム最多の20得点を奪うなど追撃を許さず。第4クオーターにはようやく体が温まった塩崎が全開。ライトからゴール下へドリブルで切り込んでシュートを放つ得意のパフォーマンスで伏虎DFを圧倒した。
 そんな1年生の活躍ぶりを喜ぶ津多は、この日はDF重視で1年生をサポート。伏虎のポイントゲッター吉田を徹底マークしてあざやかなパスカットでリズムをつくらせなかった。「めちゃめちゃ悔しかった」という上富田との敗戦以降、男子と練習試合を重ねて力をつけてきた。「うまくなった」という後輩たちの姿に「次は上富田」とリベンジに自信を深めていた。

吉田、津多との主将対決でじり貧

 4カ月前の新人大会では勝てた明和に完敗した伏虎。「どこか弱気で声も出なかった」と悔やむ主将の吉田も何とか自身で突破口を開こうとしたが、執拗な津多のマークに「センターに入ることさえ出来なかった」と力不足を嘆く。「もっと強気できっちりプレーできるよう練習する」と再起を誓う吉田は、明和へのリベンジも「自分ら次第です」と厳しい口調で話した。





和工杯剣道大会15回の節目
中学生も参加し、熱戦展開


 第15回記念和歌山工高杯剣道大会は10、11の両日、同校体育館で行われた。1992年に新築した校内武道館の完成記念として交流のある県内外の高校を招待してスタートし、今回が15回目の記念大会。例年、高校生のみの参加だが、節目記念の今回は中学生も招待した。

県内校の結果
【中学生】◇男子団体
〈1〉東和A、同B、西和◇女子団体〈1〉貴志川A〈2〉東、紀之川、岩出、高積
【高校生】◇男子団体〈1〉和工A、同C、紀北工、近大付和歌山◇同個人〈1〉太田浩規(桐蔭)〈2〉今田幹康(箕島)〈3〉温井祐策(同)
◇女子団体〈1〉近大付和歌山〈2〉和工、県和歌山商、橋本◇同個人〈1〉谷野友美(和工)〈2〉宮本ありさ(神島)、坂本妃(和工)、浅田真希(橋本)








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